Biography 歩み

働きごこち研究所の考え方はすべて、
藤野貴教の実体験から生まれたもの。
自身と向き合い続けた「過去」が導いてくれた、
「今」と「これから」。

仕事風景

2002〜2003

就職のミスマッチを経験して、
採用コンサルタントになるまで。

新卒でアクセンチュアという経営コンサルティング会社に入社しました。就職氷河期の時代で、第一志望である会社に入れて意気揚々としていたのですが、なんと1年足らずで退職してしまいます。その理由は、就職のミスマッチを感じてしまったから。

僕は自分が受けてきた教育体系に課題意識を持っていて、大学教育を変革するためのコンサルティングをやりたいと思ってアクセンチュアを志望したんだけれども、入社して僕に与えられたのは、プログラミング、システムを構築していくという仕事。それは極めて当たり前のことで、システムのこともわかっていない人間にコンサルティングなんてできるはずがないんです。でもそのことが1年目の僕には理解できなかったんですね。いまから考えると恥ずかしい限りなんだけども、そのことは僕の大事な原体験になっています。

入社前に、ちゃんと仕事内容を分からないままに内定を受諾している自分がいる、それからその会社がいちばん何を大事にしているかということをちゃんと就職活動を通じて考えようとしていなかった自分の就職観が甘いという問題もあったし、逆に考えると採用する側の問題もあるよなあと思って、そういうことを解決しようと思って退職を決めました。

今になってみると笑い話なんだけど、実は大学のときの僕の研究テーマは「日本の就職活動のミスマッチはなぜ起こるか」だったんです。その研究の一環でアメリカの大学にインタビューしに行ったときに、アメリカではインターンシップをはじめ、働くというのを1年間やってから就職するというパターンも多かったので、今の日本の就職活動のように面接だけで決めるのはいいのだろうかという疑問が、自分の就職活動を終えた頃に沸いてきて、同じ内容を卒論のテーマにもしました。そうした中で、「あれ、ミスマッチって俺じゃん」と、気づいてしまった(笑)。退職して、大学に戻って自分をテーマに研究しようかなって思ったんだけど、それじゃあ食っていけないので、どうしようかと。そうしたら、就職活動のミスマッチを解決するための会社が世の中にあるというのを当時世の中に登場したばかりのGoogleの検索エンジンで発見して、採用コンサルティングっていう道に入りました。

一社目を約1年で辞めることになり、二社目の採用コンサルティングの会社に入ろうと決めたとき、自分は社会人やり直しだなって思って入社しました。そこは30人くらいのベンチャー企業で、みんな一騎当千の人たちが集まっている場所。とにかくがむしゃらに仕事をがんばりました。具体的な仕事としては、企業が求める人物像を決めて採用戦略を考えたり、その一環として企業の採用ホームページをつくったり。とは言え僕が今提案していることと比べると、コンサルティングとはおよそいえないような提案レベルだったなあと思います。だけど当時の僕の強みとして、まだ若くて学生の気持ちがわかるということがあって。大学生はこういうことを求めているっていうことを、人事とコミュニケーションを図りながら、御社はこういうことを大事にするといいのでは、という提案をしていました。

2004〜2005

自分自身が人事採用担当として、
学生と触れ合ってみたい。

その会社での仕事は楽しかったけど、二年ほどで辞めることになりました。先輩たちはみんな一騎当千の人たちだから、それぞれの考えを持ちながら独立し始めるわけです。中でも僕が特に慕っていた兄弟子と師匠が独立して会社をはじめるってことをしたときに、僕さみしくなっちゃって。その人たちに採用コンサルティングのイロハを教わったから。その一方で、それまで採用コンサルタントとして他企業のお手伝いをするだけだったから、今度は自分がイチ企業の人事担当として採用活動をやってみたいって気持ちが沸いてきたんです。それが25歳くらいかな。そう思ってたときにタイミングよく、dipで働いていた先輩に、ウチで人事やらないって声をかけられて、転職を決めました。それが3社目。

dipには採用担当として迎えられました。僕が入社した当時、dipは上場したばかりで200人の社員数を一気に600人にまで増やすっていう計画をしていました。新卒を200人、中途を200人。200人の組織が200人を採用するってまあ無茶な話だったけど、けっこういい人を採用することができた。僕の役割は内定者フォロー。300人近くの学生に内定を出してその中の200人以上に残ってもらうというのを使命として与えられました。

そのときに大事にしたのは、人を人として見るということ。採用活動って、みんな人を数字で見ているんですよ。今年の内定者は歩留まり70%だね、とかね。それがすごく違和感があって、僕、当時の上司に300人全員に電話しますって言ったんです。上司から、それにかかる時間はどれくらいだって聞かれて、3分から長くて5分くらい、300人だから1500分ですね、25時間。それ全部かけるのかって言われて、かけますって宣言した。2週間で1日2時間だから、できるじゃないですかって。それは意味があるのかって聞かれたけど、僕は、あるに決まってるじゃないですかって言ったのを覚えています。

僕の仕事としては、来年の採用のことを考えるのも大事だし、社内の調整も大事だし、社内でパソコンやってるのも大事だけど、2分でもいいから採用内定者として学生個人とちゃんと触れ合ってその人の話を聞くこと、そして自分の言葉でこの会社に入ってほしいんだということを伝えることが一番大事だと思うと上司に伝えました。上司からは、じゃあやってみたらって言われて、その結果、300人のうち200人以上の人が残ってくれました。

場を与えれば、人は育つ。
教育担当としての気づき。

その経験は非常に僕のなかで大きかったのと、若手社員の教育のあり方というところにも気づきがあった。入社する前年の7月くらいから人を集めて、内定者教育プログラムを用意したんです。それはゲーミケーションの考えを導入したビジネスコンテストで、内定者には、自分の会社の中で新規事業としてやってみたいものは何か考えてみようと投げかけて。200人を20チームにわけて、3ヶ月後のプレゼンに向けて策を練ってもらった。

当時yahooブログが出始めたころで、そこに自分たちの取り組みを書く中で、ブログフォロワーの数もポイントにしよう、なんていうルールも決めました。今ならツイッターのフォロワー数を競うイメージですね。その取り組みがメディアからすごく注目されて、日経新聞と読売新聞から取材も受けました。なぜ藤野さんはこの取り組みをやったんですかって聞かれた時に、ひとつは、辞退防止だと。もうひとつは、就職活動を通じてせっかく得た内定者のエネルギーが下がってしまうもったいないと思ったから。就職活動ってひとつの成長の機会でもあって、でも内定をもらったあとはどうしてもモチベーションが落ちてしまう。この取り組みを通じて、成長のスピードを止めずに成長してほしいと思ったからなんですね。

プレゼンでは予選をエリアごとに開催して、東京2チーム、名古屋と大阪1チームが本選に出られるというルールにしました。一生懸命やったけど予選で負けたチームの男の子が「藤野さん、オレ、いままで何をやっても中途半端だったんだけど、一生懸命やるってことがどういうことか、よくわかりました」って泣きながら僕に言ってきたことを覚えています。これはうれしかった。やっぱ人って成長するなーって実感しました。このプログラムでの経験が、僕の社員教育を考える骨子になっています。それは、すべてを手取り足取り教えなくとも、場を与えて適切な問いを投げかけ、タイミングに応じてフォローをすれば人は自律的に育っていくということ。

そのことは、そもそもなぜビジネスコンテストをやったかという理由にもつながっていて。当時、僕は内定者にこう言いました。この会社の社員は何人いるか知ってますか、300人です。みなさんは何人いますか、200人です。さあ、ぼくたちはみなさんのことを育てられるでしょうか(笑)って。無理ですよね。だから自分で育っていく仕組みをつくるから、一生懸命育ってくれ、って言ったんです。人事担当としてはひどいセリフだけど、でもベンチャーだったから本当に自分で育ってくれることを願うしかなかった。その想いを本心から伝えたんですよね。

2005〜2006

自分が働きたい人とチームを作る。
今のワークスタイルの原点。

そうしてその子たちが内定者としてすくすく育ち、彼ら彼女らが入社する4月の頃に僕は採用担当・教育担当を外れました。入社して3か月そこらではじめた内定者フォローに関する取り組みが経営陣から注目されて、あいつは採用担当だけやらせておくのはもったいないから社内の組織活性とか社長のアイデアを実現するための、戦略担当をやらせてみようと。

戦略推進チームなんていう大げさな名前だったんだけど、なんとメンバーは僕一人。チームメンバーは社内で自分で見つけて来い、しかしぜんぶ兼務だって言われて、これはラッキーだと思って、この人と一緒にやりたいなっていう人を口説くやり方を始めました。自分が働きたい人とチームを作る。今の働きごこち研究所のワークスタイルの原点はそこですね。まずは自分が楽しそうに働き、何をめざしたいか何を大事にするかを語り、チーム内のコミュニケーションをとにかく大事にする。まだ若かったからすべてのことがうまくいってたわけじゃないけど、この時は仕事がとっても面白いと感じた。やらされ感がなかったんですよね。

そういえば、僕は当時から女性の力に着目していて、最初のチームメンバー6人のうち僕以外はみんな女性だった。男性で兼務を請け負ってくれる人がいなかったというのもあるんですが、社内のコミュニケーションを活性化させる取り組み、社内報をつくるとか社内イベントをやるとかそういう組織内の感情コミュニケーションを豊かにする仕事は女性の細やかで柔軟な考え方のほうがうまくいくなと感じていました。

仕事の成果は出るのだけど、
なぜか苦しい。

この戦略推進チームでの仕事は楽しかったけど、すごくハードでもあり、心の苦しさを感じることも多くありました。一言で言えば、仕事の成果は出るんだけど、なぜか心はどんどん乾いていく。でもその原因は、今考えてみたら自分にあるんですよね。たとえば必死になって仕事に取り組むんだけど、なぜかまわりは応援してくれない。藤野はロジカルだし、言ってることも正論だからわかるんだけど、でも応援したくないと言われたり。ある人からは、社長の意を笠に着てる感じがあると言われたこともありました。僕自身にはそういう気持ちはなかったんだけど、そう見えるんだな、生意気に見えるんだなって思ってました。でもその事実を、当時の僕は受け入れられなくて、とにかく結果を出せばいいだろって思っていたわけですね。実際、結果は出てるんだけど、結果が出た後に気楽になるかっていうとぜんぜん苦しいままで満たされない、でもまわりから仕事は降ってくるわけですね。

経営陣をはじめ上司には気に入られてるかもしれないけど、ちょっと上の先輩とか同年代の社員にあまり好まれていないと思える状況があるような気がして。でも僕は会社のために一生懸命やっているのに、割と笑顔も振りまいて仕事をしてたのに、なぜこんなことになるんだろうと。おかしいな、苦しいよ、と思い始めてました。

この頃の自分のことを思い出すと、今でも恥ずかしいんだけど、今になってみるととてもいい経験をしたと思う。今の僕は、「仕事の成果は出ているんだけど、なぜか苦しい」とか、「社内での成績評価は良いんだけど、なぜか人間関係に問題を抱えている」という人の気持ちがよくわかる。そういう人のリーダーシップのどこに問題があって、どんな風に解きほぐしていけばいいか、っていうことが実体験で伝えられるから。頑張っていて、周りからは認められているんだけど、なぜか自分の心は苦しいっていう人って、周りにあんまり弱音を見せないから一人で抱え込んじゃっているんだよね。でも周りはそのことに気付いている。

(キレキレ時代のことを以前ブログ(http://fujinotakanori.jp/kireyuru/145/)に書きました)

仕事風景

2006〜2007

愛知出張の夜。カエルの声を聴いて、
東京からの卒業を決める。

僕は当時結婚したばかりで、結婚して早々に毎日終電でも帰れないという毎日が続いていて。残業続きの状態も次の4月には終わるからって言ってたんだけども、結局6月になってもその状況は変わらなくて。家に帰っても妻はもう寝ていて、一人でフライパンで肉を焼いてビールを飲んで、また朝起きて会社に向かって、そんなことを繰り返す中で。自分一体何やってるんだろうなって思い始めてきたんです。

そんな中、6月のある日に名古屋支社に出張する機会があって、その夜に愛知県の幡豆町(現西尾市)にある妻の実家であるに泊まったんですが、その夜が僕のその後の人生を変えたかもしれません。幡豆はすごく田舎だから、田んぼから聞こえるゲロゲロという蛙の声がうるさくて寝れないんですよ。そのとき、ふと思ったんです。ああ、この地で生きて、働いていくのが俺にとっては最高に心地いいんだろうなあって。この自分の中に生まれた直感は、なぜか自分の体中にすっと駆け巡ってた。その瞬間にもう僕は、決めてたんですよね。東京から卒業することを。その次の月曜日の週に、「できれば名古屋に飛ばしてもらいたい」と伝えたんですね。そしたらありがたいことに、転勤してもいいって言ってもらえたんです。

カエルの声を聴いて直感が下りてきたこの時期、同時に僕の中で気づき始めてたことがありました。それは、「今、仕事で感じてる自分の違和感の問題は、どうやら俺にあるようだ」と。僕はそれまで、自分の働きごこちが良くないのは、会社が合わないからだと思っていて、どこか周りのせいにしてきたんだけど、それは違う。働きごこちがよいかどうかは、自分がどうありたいか、なんだよな。そして僕にとって働きごこちがいいっていうのは、自分にオーナーシップがある、自分の意思で自由に決められる、という状態なんじゃないかと。それってリスクがあるけど、でもリスクの反対にある自由っていうのを僕は求めてるんだなって思ったんです。3社目でようやく気が付いた(笑)。その気付きと、カエルの声を聞いた夜の経験が結びついて、愛知県で独立しようという想いに向かっていったんです。

2007年夏、働きごこち研究所をスタート。

愛知県に転勤してから1年間は、中途採用の求人システムの営業をやっていました。久しぶりに営業に戻ったから楽しくて。愛知県と水も合うし。2006年当時は愛知万博の年ですから、求人倍率も高くて、お客さんから中途採用のことだけじゃなくて新卒のことも相談されるようになっていきました。僕自身のかつての採用コンサルタントとしての経験や、人事時代の経験を踏まえて、新卒採用のここはこうしたほうがいいとかって相談にのってたら、藤野さんそれビジネスでやってくれないのって言われて。お客さんに求められてるし、新卒採用だったら事業が今の会社とかぶらないし、新卒採用をメインにしたコンサルティングなら価値を発揮できるかな、って思って2007年の夏に働きごこち研究所をスタートしました。

20代で三社経験して、一社あたりの年数は短かったけど、でもすごく濃い仕事体験をさせてもらいました。
働きごこち研究所新卒採用コンサルティングの事業の柱である体感ワークは、採用コンサルタント時代の経験に加えて、僕が人事時代に内定者に対して行ったビジネスコンテストの経験が役立っています。
組織活性に関しては三社目の経験が生きています。社員総会とか社内のコミュニケーション活性化するためにいろんな取り組みをやる中で、うまくいったこともうまくいかないこともあって。それでなにがわかったかっていうと、社内の調整ってこうやってるんだ、人事ってこういうところが苦しいんだ、こういうところが人事ってめんどくさいと感じるんだ、社内の人間関係、こういうところが問題なんだ、ということを実体験として感じることができた。独立してお客さんである人事の方にいろんなことを提案する立場になったときに、その経験はとっても役に立った。自分との打ち合わせのあと、担当者の方が社内でどう説明し、話を通していくかが具体的にイメージできるんですね。だから相手のかゆいところに手が届く提案もできるようになったと思います。

目の前の案件に全力で取り組むと、
仕事の幅が広がってくる。

独立した当時は愛知万博があったので採用活動は売り手市場でした。だから、僕が会社説明会に仕事体感ワークを導入しましょうと提案しても、そもそも人が集まらないからやれないよって言われてました。だからまずは、採用ホームページとか採用パンフとかツールをつくる仕事で精一杯成果を出そうと。10万円、20万円の案件をいただいて、その仕事で40万円分の価値を感じるくらいの成果を出し、少しずつお客様の信頼を得られるようになったと感じられるようになりました。

でも、少しずつ実績も増えてきた頃にリーマンショックがあって、採用クリエイティブの案件が一切なくなりました。それはなかなかのピンチで、実際会社の売り上げも低下したんですが、実はその変化があったからこそ、仕事体感ワークを中心としたソリューションにシフトできたんです。かつての売り手市場と違い、企業優位の買い手市場となり採用人数も少なくなったので、たくさんの母集団から優秀な人だけを採用したいという要望が出てきた。そうした状況があったから、仕事体感ワークが価値を発揮するようになったんです。ワークを通じて自社の事業や社風がしっかりと学生に理解してもらえるし、ワークへの参加姿勢を通してどの学生が優秀かが見えてきますよ、と。今、ありがたいことに働きごこち研究所と言えば「ワークが得意」と言われる状態になったんですが、思えば不況というピンチによって生まれたチャンスだったんですね。それが2009年の終わり頃の話です。

「働きごこち研究所と言えば、
ワークが得意」だよね。

それまで大手のパートナーさんに発注されていた企業が、納品されるプログラムが型どおりにパッケージングされているところに不満を感じられていて、「うちの会社の良さを伝えるために、ゼロベースで藤野さんにカスタマイズしてやってほしいんだ」おっしゃってくださった。だから、とにかく一社一社のために一生懸命カスタマイズすることを大事にしてきました。

僕は難しい内容をシンプルに加工していくというのが割と得意なんですね。小学生のときにゲームブックという小説形式のゲームが流行っていて、僕はただ自分が読むだけでは飽き足らず、自分でオリジナルのストーリーをノートに書いて同級生に遊んでもらっていたんだけど、仕事体感ワークってそれなんです。こういう状況になったら、ユーザーは恐らくこういう選択をするだろうから、その時にこういう課題を与えるとより混乱して盛り上がるとか。ただ、ゲームブックとの違いは、ユーザーをハッピーエンドに導いてあげる設計をしていくこと。僕は、どうやって学生の志望度と理解度を上げていくのかを設計しています。ゲーミフィケーションプログラムで会社や仕事の面白さを伝えていくということに、意外と才能があったみたいで多くの企業から高い評価をいただくことができました。

仕事体感ワークの設計ノウハウは、インターンシッププログラムの提供にも価値を発揮しています。就職のミスマッチがなぜ起こるかって論文を書いていた2001年当時は、日本で実施されているインターンシップといえば、旭化成とマイクロソフトくらいしかなかったんです。だけどこれからは就職のミスマッチを防ぐためにもインターンシップはぜったいに増えていくだろうと卒業論文に書いたんですが、それから10数年たってみると実際世の中はそうなっていて、インターンシップを実施するのも参加するのも当たり前って時代になりました。

この間、学校教育にも、ただ一方的に先生の話を聞くんじゃなく、学生に問いや課題を与えて主体的に理解していく「アクティブラーニング」という授業が増えてきましたが、そういう教育を受けてきた子たちが就職活動をする時代になったから、採用活動においてもただ人事が一方的にも会社を説明するんじゃなくって、双方向で理解を促進するワーク形式の会社説明会が当たり前になってきました。それは就職活動のミスマッチを経験した僕にしてみたら、とっても素晴らしいことだと思っています。

2008〜2010

人事同士がノウハウをシェアできる、
オープンな場をつくりたい。

少しずつお客様も増えてきて、2008年くらいから働きごこち研究所セミナーというスタートしました。人事同士が交流でき、そして「そんなこと無料で教えていいの?」と思われるくらいのノウハウが得られる場をつくろうと。

これは、独立するときに昔の師匠から「これからの時代はなんでもオープンだ。自分が持っているノウハウを惜しまずにぜんぶ出せ、そしてそれはタダで出せ」って言われたのがきっかけです。そう言う師匠に、ノウハウを全部出してしまったら俺たちコンサルタントはどうやって食べていくんですかって聞いたら、教えたからと言って簡単にマネされるようなものはそもそも価値がないんだ、と教えてもらったんです。それは実際その通りで、今持っているノウハウを惜しまず出せば出すほど、自分の知識レベルは上がっていったんです。アウトプットすることにより、自分はもっとその先に行こうという気持ちになる。既存のカタチに安住せず、新しいこと、もっと面白いことを追い求めて、自分自身が常に変化し続けるこそが、働きごこち研究所藤野貴教の価値なんだよな、って思うようになりました。

これからの採用の変化は、
テクノロジードリブン。

今後の採用の変化は間違いなくテクノロジーが引っ張っていきます。それをテクノロジードリブンというんですけど、まさに今からの5年~10年で採用活動は劇的に変化していくと思います。実は、2002年にリクナビが登場してからずっと、採用活動のテクノロジーってほとんど進化していなかったんです。学生を管理する採用データベースができてマイページができて、学生がエントリーするとサンクスメールが届いて、選考のメールがマンツーマンでくるっていう仕組みは、2000年代初頭に生まれてからずっとイノベーションが起きてなかった。十数年経ったいまでも、根本的には変わっていません。

こうした現状に大きな進化を生み出すだろうテクノロジーが人工知能です。人工知能の圧倒的な計算能力と学習能力がデータベース内外で活躍することで、企業と求人者のマッチングの精度をぐぐぐっと高めることができるんじゃないか、と思っています。これは大きなイノベーションが起きるなあっていうのは人工知能を勉強し始めた当初から思っていて、いよいよそれが実現化していきます。現在、働きごこち研究所を含めたチームで人工知能を活用したプロダクトを開発していて、これが実用化すれば「これはオモロい!」と世の中をワクワクさせることができるんじゃないかなと、僕自身ニヤニヤしています。

採用活動を、ワクワクする方向へ
変化させていきたい。

新卒採用というマーケティング活動が特殊な理由は、お客さんが毎年一新するということ。企業の採用マーケティング活動のお客さんは、どの年も、就職活動が初めてという学生なんですね。そうなるとどうなるかっていうと、企業側に去年通りのやり方でいいやっていうインセンティブが生まれるんです。でもこれが採用じゃなくって営業だったら、お客さんへ毎年同じマーケティング活動を続けていたら、お客さんも飽きるし、やがて買わなくなるでしょう。だから企業には改善欲求が生まれるし、変化しようとする。

だけど新卒採用に関してはそれがないから、変化しなくていいっていうインセンティブが働いてしまう。だから採用っていうのはイノベーションが起こりづらくなる。だけどそれは採用を支援する側のビジネスからするとやりやすいことでもあるんですね。去年使ったものを今年の提案でも使えるから、ある程度使い回しがきく。

でも毎年同じことをやっていると採用担当も飽きるし、このやり方じゃない新しいやり方ってないんですかねっていう声が出てくる。そんな中、企業の方は、藤野さんだったら面白い変化を起こしてくれそうだ、新しいことを提案してくれそうだ、というのを僕に期待してくれている。そして、しかも提案のプレゼンしてるとき藤野さんほんと楽しそうに話すよね。だからなんか、やってみたくなっちゃうんだよね、という声をいただくんです。これが一番うれしい。

変化を起こしてくれそう、新しいことオモロイことやってくれそう、そして、あの人と一緒に働くとなんだか楽しそう。この3つが、働きごこち研究所がお客さんから期待されているところかなと感じています。

仕事風景

2011〜2013

採用コンサルティングから、
能力開発・組織活性に事業が広がった。

僕が仕事体感ワークをつくるときには、お客さんの会社、事業・仕事・社風を徹底的に考え抜きます。お客さんへのインタビューやブレストを通して、「御社のこういうところがおもしろいですね」って社外の僕が発見したものが、社内である人からすると、「え、そこですか?」という驚きだったりする。そういった、第三者的な視点で感じた素直な感想を伝えるのがまずは大切だと考えています。

社内にいるだけでは気づかない自分の会社のおもしろみを、社外の僕と一緒に仕事をするプロセスで自然と発見していくんです。体感ワークをつくっていくプロセスで、お客さんと一緒に伝えることを考える。社内に対してはこういうメッセージ、社外に対してはこういうメッセージを伝えようということを発見していくことが重要なんですね。この活動が、採用活動をよくしていくだけでなく、社内の働きごこちもよくしていこうという流れに繋がっていきます。

採用担当の方たちが学生に、自分のアタマで考えて動くことが大事だ、受け身じゃなくて自分の考えで動けって言ってるんだけども、いざ社内を見渡すと受け身な人間が多いなあと気付いた。じゃあどうやったらいいか、というのがスタートです。

採用と能力開発って、多くの会社で役割が分断されてるんですよ。ヒューマンリソースマネジメント(HRM)の考え方って、採用、配置、評価・報酬、能力開発の4つに大きく分けられるんですが、採用したこの人はこういう適性があるからここに配置しよう、そして配属後に、現場の仕事に取り組む社員の評価があって、評価に基づいてどういう報酬体系にするか、となる。評価が高い人も低い人もいる中で、どういう能力開発をすればこの人は成長してくか、と考えていくのがHRMのプロセスです。

だけど現状は、採用と配置のところも分断されてるし、評価と能力開発も分断されてる。それはなぜかというと、担当部署がそれぞれ別になっているケースが多いから。本来そこは一貫するべきなんです。その時に、どこから先陣を切って変化を起こしていくかと言うと、それはやはり採用だと僕は思っています。採用活動でやるべきことは未来を語ることなんです。我々の会社はこういうことをめざしてるからこういう人が必要で、こういう能力や才能を伸ばしていくチームでありたい、と。その想いをめざすべき未来として社内の中でも浸透していくべきことなので、採用という切り口から、ビジネス的にも社内風土的にも未来に向かった変化を作り出していくってことを僕は支援しているんだと思っています。

人間はどう働くとハッピーなのか?
まずは自分が実験台だった。

自分自身が東京のベンチャー企業で一生懸命働いていたとき、およそ人間らしい生活とは言えない時期を過ごしたからこそ、自分自身がハッピーな状態、落ち着いていられる状態、自分自身が満たされていると感じられる状態にあることが、長く安定したパフォーマンスを出すためには必要なのだと気付くことができました。だからこそ、働きごこち研究所におけるいちばん大事なことは、僕の働きごこちがいい状態を保つことだと思っています。それって、顧客満足を大事にしていないっていうことじゃなくって、お客様に喜んでもらえるパフォーマンスを出せる僕でいる、ってことなんです。それはお客さんにも言ってます(笑)。

2007年頃かな、ワークライフバランスが大事だって言われ始めてたとき。その頃は、働きごこちをよくするためにワークライフバランスが大事って僕も言ってたと思うんですよ。でもなんか、ちょっと違うなって。働きごこちがいい状態って、別に仕事が早く帰れるということだけでもない。それよりも、働くこと、生きることが楽しい状態であることが大切だと。僕がベンチャー企業で働いてるときに、毎日毎日早く帰りたいかって思ってたかってそうでもなくて、楽しい仕事だから、とことんまでやりたいとも思っていたし。ただ、仕事に対して感じる楽しさは人によって違うし、社員個人が楽しいと思う状況と、組織が考える楽しさのメッセージがずれてると多くの問題を生んでしまうと思うから、それを合わせていく方法はないかなっていろいろ考えてきました。

「働きごこちがいいってどういうことか」っていう問いの答えは今でもまだ見つからないし、もしかするとこの問いは永遠に見つからないのかもしれないけども。でも僕自身が実験台になって、「働きごこちがいいって、どういう状態?」を試してくことはできるな、と思って、僕自身がワークスタイルを進化させることに、今までもこれからもチャレンジしています。

MBAでの学びをスタート。
しかし、論理だけではだめだと気付く。

2003年から2010年の7年間、採用とキャリア開発というテーマで仕事をしてきて、けっこうこの道では何かを語れる人間になってきたと感じていました。一方で僕は組織を途中でドロップアウトしてるから経営的目線が足りないなと思っていたのもあったので、2011年のとき、MBAで学ぶことにしました。経営的視座を得て、視野を広げることにチャレンジしようと。

仕事をしながらのMBAという時間の中で、マーケティング、経営戦略、ファイナンス、アカウンティング、リーダーシップについて視野が広がったことによって研修講師としての引き出しも増えたし、採用コンサルティングの枠を超えて経営コンサルティング的な提案ができるようになってきたのもあり、得たものはとても大きかったです。でも、人間らしいっていう点でいうと、左脳ごりごりの、ファクト・ロジック・正しさ第一の人間にまた戻ってしまっていた。人間らしい生き方が大事だって言ってたのに、自分が気づかないうちにむちゃくちゃ堅い考えの人間に戻り始めていたんですね。

このとき、それまで自分の中で眠ってた葛藤が、またぐわーって出てきたのを感じました。グロービスの授業はグループワークやプレゼンテーションなど学生が発言する機会が多いのですが、僕の発言がキレキレすぎて、まわりからは隙がない、意見を返しにくいって言われていました。プレゼンをバシッてきめると、またシーンとなったり。なにも言えない、突っ込めない感じを出していたみたいです。そのことに気付いたのがまっぴー(松林博文さん)の経営戦略のクラスだったんですね。まっぴーのクラスってゆるい雰囲気が魅力なのに、僕のせいでシーンとなっちゃった。それを見て、これはやばいなと思って。俺はこんなふうにしたいんじゃなかったのに、おかしいなあ、嫌だなって思ったのでした。それを夜の懇親会で、まっぴーに相談したら、わかるわかるって。でもそういうのはいずれなくなるなくなるって、俺も昔そうだったって言ってもらえて。それがけっこうターニングポイントとして記憶に残っていますね。

それと同じ気付きを僕に与えてくれたのが柴田さんです。柴田さんからは、藤野くんはプレゼンも完璧だし、ロジックが立つ人だし、一対一のコミュニケーションも強い。だけど強いて言うなら、目で笑えるといいねって言われたんですよね。目が怖いって。

人間らしいっていうのは、ハートフル、感情の部分。ロジックや言ってる内容、目に見えることだけじゃなく、人が感じ取るものが大切なんだと。もともと僕は感じ取っちゃう側なんで、みんなの反応が少ないと、あれ何かみんな違和感を感じているのかなと、感じ取れちゃうタイプなんだけど、でも僕自身がその感じ取った気付きを大事にしていない、つまりココロというのを大事にしてないからこうなっちゃったんだと気づいたわけです。せっかく感じ取る部分はできているんだから、日常の中でもっとココロの価値を大事にしようと、再度考え直すきっかけになりました。

2014〜2015

論理や正しさを手放し、
感性や直感を信じ始めたとき、
自然体な自分に気付き始めた。

今、働きごこち研究所の社外取締役を務めてくださっている西やん(西田敬一さん)と、アービンジャーインスティテュートの箱セミナーを中心としたプログラムを一緒に提供するようになったのもこの頃からです。西やんには2009年頃、僕がキレキレモードで苦しんでいる時期に出会っていて、当時の西やんは既にその悩みから脱し始めていた。それは彼が箱の考え方に出会ってからで、僕は彼のあり方を間近に感じることを通して、「ああ、僕もこんな風に自然体になりたい」と感じ始めました。

西やんは、凄腕の組織開発コンサルタントで、実はめちゃくちゃ頭がきれるのに、でもゆるい。あたたかくて、やさしい。もちろん人間だから怒れることもあるのだろうけど、それを自分で整えている。彼はココロの価値というのをよくわかっていて、それを自分自身が実践し、そして周囲に伝えていた。僕は彼みたいになりたい、と思ったんです。

僕は左脳とロジックが得意だからコンサルティング的な仕事がある程度できていたんだけど、でもこれはもういいんだと。そのことはできていると周りのみんなも言ってくれているわけだし、もうそれは手放してみようと思ったんです。それが2013年の頃の気付きです。

グロービスを卒業して2年目くらいから、最近の藤野くん、なんか直感で動いている感じがするよね、変わってきたよね、って言われるようになっていって。その頃から海のスポーツを始めたりとかして、やっぱりカラダが整ってくると心が整うな、右脳とか感性って大事だなって実感するようになりました。

今まで、左脳とか正しさとアタマの部分に偏ってたけど、ココロを大事にすると気持ちがいいし、人から愛されてる、ありがたいなって感じられる。なにより、そのほうが自分がラクだし、なのに前よりもけっこうアイデアでてくるし、そのアイデアもなんだかんだ筋道立ててしゃべれちゃうし、じゃあもうそっちでいいんだって。それまで左脳とか論理に片寄ってた自分自身が、右脳と感性と身体性も大事にできるようになってきて、自分の自然体というかニュートラルな状態がわかるようになってきたんです。

2016

自分が実験台として
チャレンジしてきた気付きを、
これからのリーダーの人たちに
伝えていきたい。

それで最近は、働きごこちをよくするという側面から僕自身のリーダーとしての気づきをを伝えるようになりました。辻秀一さんにメンタルトレーニングを学ぶ中で、ココロのことをわかりやすくロジカルに説明できる人って世の中にあまりいないと言われて、ビジネスパーソンにメンタルトレーニングを教えることにチャレンジしてみたり、整体師と共にカラダを整えることで仕事のパフォーマンスを上げる研修をつくってみたり。これらの新しいチャレンジは全部、自分が実験台として「あ、これはよかった」と感じたことを、人に伝えるプログラムとして進化させてきた気がします。僕が大事にしていることは、まず自分自身が実験台になることなんだと思っています。

でも、左脳重視、正解重視、仕事はバリバリやってて、成果は出すけどなんか心が苦しい、満たされない。こういうリーダータイプの人って多いと思うんですよ。でもそういう人たちは、ほんとはもっといいパフォーマンスが出せるはずだし、だけど、人を責めたり自分を傷つけたりという方向に行ってしまって苦しんでる。でも彼らはぜったいリーダーとして成長していける素質があって、そのリーダーに必要なのは、もはや左脳やロジックではなく、右脳や感性や身体性というところ。論理と感性、頭脳と身体性のバランスが整っている全体性というのを意識していけば、リーダーとして活躍できるはずだから、まずは自分自身がそういう生き方をしてみようって思っている。それが働きごこち研究所として僕が世の中に提供できる価値なんじゃないかと。

これからの時代に必要なのは、
「自然体のリーダーシップ」をとれる人。

僕は「次世代リーダー」の育成が組織において最も大切だって言っています。これまでのリーダー像って、責任感が強くてオーナーシップや当事者意識を持っていて、人がやらないなら自分がやるってこういう感じの人だった。それはもちろんリーダーとしてこれからも必要な能力なんだけど、自分自身がそういうリーダーになろうと頑張っていた過去を振り返ると、苦しかったという思いがあるんです。

ココロとカラダのバランスの大切さに気付いた経験から、最近の世の中に求められるリーダーとは、「なぜか気が付くと応援されている」っていうタイプだと感じ始めています。ビジョンもあるし、論理も磨かれているけれど、でも穏やかで、心が安定していて、あの人といると安心するというような人。それって自然体なリーダーシップってことだと思います。それに気付いたのがグロービスを卒業したあとのことで、それは、ここ3年くらいのリーダー教育で僕が大事にしていることでもあります。

企業のリーダー像の変化に伴って、企業が採用したい人物像も変化しています。そもそも、最近の学生は昔の学生よりぜんぜん頭がいいんです。頭がいいっていうのは、知識や論理の部分において。自分の意見を伝えること、プレゼンテーション能力の長けている人はどんどん増えているんですね。そうした能力が伸びている理由は、ITの進化による影響が大きいと思うんですけど、「効率的に仕事をする」という面ではかなり優秀なひとが増えてきている。だけど、そうした人が入社したあとでうまくパフォーマンスを発揮できないというケースは少なくない。そうした人って、自分は本当はもっとできるはずなのに、仕事が悪いとか周囲が悪いとかって、環境を責始めるようになる。でもそれは実は本人の問題で、自分にそもそも問題があることに気付いていない人が多いんですね。かつての僕がまさにそうだった。

一方で本当に優秀な人っていうのは、自然体のリーダーシップが学生の頃から身に付いていて、さらに頭がいいんですよ。でも左脳的な賢さに囚われてないというか。そういう人材が欲しいよねっていう意見は、世の中の採用担当、特に大手企業において増えてきてます。
そういう人材って、100人のうち10%いないんです。ロジカルで弁が立って左脳的に動ける人材であれば、大手企業だと、100人いて70〜80人とかは採用できる。だけど本当に器量が大きくて人間的におもしろいっていう人材は少ないんです。

僕は、左脳的に優れた人材を70人80人採用する仕組みも提供するんですが、同時に、次世代のリーダーになり得る10人をどうやったら獲得できるのかということを考えることをミッションとしています。今はどの会社も、未来に向けてイノベーションを起こすには、そういうこれまでと違うリーダー人材が必要だと気付き始めている。まだそういう人をとる仕組みって世の中にうまれていないんだけど、それを作っていくっていうのが、たぶん今採用コンサルタントとしての僕に求められているんだと思います。

頭がいい人はとれる時代なので、頭もよくて感性もあって、自然体なリーダーとしての才能を持っている人と、そういう人を求めている企業とを出会わせるためにはどうしたらいいか、そのためのオモロイ採用、今のやり方とちょっと違う採用を提案しています。

左脳偏重の組織に、
感性や心という価値に気付いてもらう。

とは言え今も多くの組織は左脳偏重で、論理で組織をコントロールしようとしている企業が多い。左脳、論理、弁がたつ人間ばかりが評価されるし、感性とか安心できる雰囲気をつくるとか、アイデアがピョンっとでてくる人材には、あまり光が当たってないっていう現状があるんです。

でもテクノロジーが進化、とくに人工知能がどんどん進化し、僕たちの日常や働き方の中に入ってくるこれからの世界においては、今のままではまずいんです。論理だけが優れていても、論理的な能力では人工知能には勝てない時代が来る。じゃあ人間って何をしなきゃいけないの?人間にできることは何なの?そういうことを考え始めたのは、湯川鶴章さんの主宰する湯川塾で人工知能のことを勉強し始めるようになってからです。僕たちの働き方を真剣に考えなきゃいけないステージが今まさに来ているんです。

でも未来のことだけじゃなくって、今の現実でどう成果を出すのかということも企業においては必要。だから、働きごこち研究所としては、企業の中の論理と感情のバランスを整えることが大切だなって考えています。いくら右脳的な感性が大事だと言っても、その組織全体の左脳的な部分がまだまだ弱いならまずは左脳を鍛えなきゃいけないし。

逆に、左脳的人材育成をひたすらやってきて、これ以上やってもなかなかイノベーションが起きていかないのに、それでもまだ論理や知識を高めようとしている人や組織へは、人のココロの価値、人とどう柔らかくコミュニケーションするか、全体的なリーダーシップを図っていくか、人間関係というのをどうやって豊かにしていくかということにもっとフォーカスをあてたほうがいいよというのを伝えていく。

それにはまず、そうしたバランスがとれた組織、安心できるチームづくりが大切だということを経営や人事が理解する必要がある。足を運んで企業の課題、ビジネスの状況を聞き、今後どういう組織をつくっていきたいのかとしっかり聞いてから初めて、その企業の課題が見えてくるわけですね。それを踏まえてバランスを整えることが大事。だから企業に合わせて研修内容や組織開発プログラムをカスタマイズする際には、左脳右脳のどっちが必要か、その企業にとって論理と感性どっちが求められているのかを感じ取りながら繋いでいきます。

2017

自然体の自分で生きる
ニュートラルポジション。
これからも自分が
一人の実験台として生きていく。

今はまだ、企業研修と呼ばれるものの9割以上が左脳型だと思います。感性型の研修を行っている企業なんてまだ全然少ない。森で感性を磨く研修というのがたとえばその例としてあるのですが、多分ほとんどの経営者や人事は、「そんなこと何の意味があるの?」って感じることでしょう。そういう意味では目新しさもありますよね。

森の研修は、チームビルディングにおいても、感性を磨き合うという意味でも有効な研修だと思います。感性で話し合うと、人は心で通じ合うことができる、クリエイティビティがめざめてくる。そうして自分自身で自分を整えるためのセルフリーダーシップが育まれる。森にいるときには自然体の自分に気がついたけど、会社に戻るとなぜかそうなれない、それはなんでだろう?じゃあ、自然体の自分ってどういう自分で、自分はどうやってそのニュートラルなポジションに戻ればいいんだろうと悩むんだけど、その違和感に気付く、センサーを持っているかどうかが大切なんだと思います。そのセンサーこそが、人間がもっていてロボットが持っていない「感性」そのものだから。ニュートラルなポジション、つまり自然体の自分の状態っていうのを体感的に理解すると、自分で自分をリードする、導くことができる。自分のあるべき場所にもどる、自分がいちばんパフォーマンスが上がる状態に戻っていく力を養うことができるんですね。

でもまだまだ僕も、道半ば。イライラするし、不安になるし、囚われるし、論理に偏った思考をしちゃう自分はいる。でも、その自分もまた自分で、その自分を否定したり抑圧するのではなく、その自分に気付き、気付くことでニュートラルに戻っていけばいい。聖人君主になる必要はないん。僕たちはみな人間だから。

人間らしく生きるってのは、ダメな自分も含めて自分だって思える、愛せるってことじゃないかと。そんな風に自分を受け入れることができたら、人もまた完ぺきではなく、囚われ、迷い、そして良心や愛がある一人の存在なんだって、他社を受け入れることができるようになるんじゃないかと。そんな葛藤と気付きの繰り返しが、リーダーとして成長していくってことなんだと、自分自身が実験台となってこれからも生きていきたいと思っています。

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