News 働きごこち研究所
meets プロフェッショナル

外側から見た働きごこち研究所って?
代表の藤野貴教ってどんな人?
各界を代表するプロフェッショナルが、
藤野について自由気ままに語ります。

INTERVIEW#005

信頼関係がクリエイティブを生み出し
日々の安心感が幸せな人生をつくる。

2016/10/26

インタビュー風景写真

西田さんは、なにをやっている人なんでしょうか?

藤野) 何か怪しい人って言われてますけど。

西田さん) 怪しいよね。怪しさは拭えない(笑)。
いきなりちょっと話飛んじゃうんだけど、ロバート・ウォールディンガーだっけ?ハーバード大研究室の4代目リーダー。75年間で724人の人生を追跡調査して、満たされた幸せな人生を送るために何が必要かっていうTEDの映像を見直したんだけど。
それによると幸せな人生のために大切な要素は良質な人間関係だっていうわけ。

藤野)幸福の源は良質な人間関係。

西田さん) そうそう。それで、「これまで僕が伝え続けてることは間違いない」と思って。
深い人間関係を築くことを企業でお伝えしています。人間関係、関係性の力ですよね、それをお伝えしている。

どんな方法で伝えているんでしょうか?

西田さん) 「箱」っていう考え方を通して伝えています。

藤野) 「箱」というキーワードを初めて聞く人のための質問。箱セミナーって何ですか?

西田さん) 世の中に人間関係を悪くしたいって思っている人はいなくって。でも、人間関係の問題っていうのを自らが好んで問題を引き起こしていくことが多いの。それって不思議じゃない?人間関係を悪くしたいと願う人はいないんだけれども、人は自分で引き起こしちゃう。人のメカニズムを分解して、わかるように伝えているセミナーが箱セミナーです。

藤野) なるほど。じゃあ何で人はそんな問題を自分で巻き起こしちゃうんですか?

西田さん) それは大前提として自己欺瞞(じこぎまん)があるよね。人は自分に問題があるっていうことに気づけない、あるいは自分が問題をややこしくしていくっていうことに気づけない、むしろ加担してるっていうか。

箱セミナーで伝えているのは、一つ目は「人間ってわかっちゃうよね」っていう話で、自分が相手をどういうふうに見ているのかという点。ヤギのような目をしているときは自分自身がどっちかわかんないけど(笑)、一生懸命共感しようとしてんのかな。とにかく相手を見ただけで、自分に対して心をものすごく開いてくれている状態か、心が閉じている状態かっていうのは、人間は一瞬でわかっちゃうものなんだと。それは褒めたり叱ったりといった行動や振る舞いで決まるものではなくて、どういう見方で自分のことを見てくれているか。それが人はわかっちゃう。

それを、アービンジャーでは「人として見る」&「ものとして見る」とか、「相手に対して思いやりの心で見る」&「相手に対して敵対心、抵抗心で見る」というような、ふたつの見え方にわけてるんだけども。
敵対的に来るとか、すぐわかるじゃん「ああ、今すごい敵対的モードに入ったな」とか。

藤野) 相手がね。

西田さん) 相手のこともわかるし、一方で自分自身も「ああ、今すごく敵対的モードだな」とか、あるいは「全然無関心だな」とか「この人の話聞いてないな」とか。

藤野) 人にはもともと、それを感じ取るセンサーみたいのがあると。

西田さん) そうそう、センサーがあると。それを人は、心とか感情とかって言うんだよね。見えないんだけど感じるもの。

藤野) 見えないものを感じ取ったあと、どうやって変わっていくんですか?人は。

西田さん) 人として見るとか、相手に対して思いやりとか共感する心を持つようになる。そうすると、貢献したい、この人の役に立ちたいとか、この人を大事にしたいとか、その人に感謝の気持ちとかが湧いてくる感じ。感謝だけじゃなく、間違ったと思ったらすぐに「ごめんなさい」という気持ちが出てくるし、それってすごくピュアな心だよね。子どもの頃って多くの人は、そうした割合が大きかったんだろうなと思うわけ。

藤野) そうだよね、もともとピュアな心をもってるんだよね。

西田さん) ピュアな心があれば、相手のためにこうしたいとか、貢献したいこととか、何かできるかなとか、役に立ちたいっていう強い気持ちが出てきて、実際に動くことができる。そうすると相手はうれしくなって、相手もこちらに対する好意とか、貢献っていうのを出し始める。それがお互い続いていくとすごく気持ちのいい関係性になるし、お互いのことを信頼し合えるし。実はその状態って、ものすごくクリエイティビティで生産性が高くて。なぜなら、そういう間柄になると本音が言いやすいんだよね。「本当は困っててさ」「最近悩んでんだけど」という話って、聞いてもらえるだけで当人からするとすごく落ち着くし、安定感にもつながるし。

もう一つは「実はちょっとこういうことを考えててさ」という雑談から、「それ面白いね」「こういう人知らない?」「いるいる、紹介するよ」みたいな状況も生まれるよね。見返りがない状態だから余計な時間がかからない。

ところがその反対にいる人、敵対的であったり、人をものとして見ている状態であればお互い心を閉ざして本音が言えない。一応表面上は合意したとしても、納得感がないとか。相手のために動きたくもないし、人間関係が良質じゃないと、話していても構えてしまうよね。相手の話を聞きながらアラを探すし、もちろん貢献しようという気にはならない。そうすると無駄な時間になっちゃう。これは夫婦や友人関係も全部一緒だなと思ってて。良質な関係になればなるほど本音が言えて、アイデアが言えて、いろいろ創造的な会話もできる。Win-Winだよね。困ったら話聞いてもらえるし、聞いた方は何か手助けをしようと思うし。

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そもそも西田さんは、何でそういうことが大事だと気づいたんでしょうか?

西田さん) 原点はやっぱり人間関係でことごとく失敗しているということだよね。僕はもともと、すごく批判的で、すごく我が強くて、自己中心で、合理的な考え方を好む。35歳で箱の話に出会うんだけど、それまでは本当の心からの友人と言える人は、奥さんと大学の同級生の1人ぐらいしかいなかった。社交性がないわけじゃないので表面的にはうまく付き合うんだけど、結局どこかで損得とか、僕が中心じゃなきゃ嫌だとか、すぐ敵対的モードになって、周りがみんな僕から去っていくっていう経験をずいぶんしてきたのね。

価値観を変える一番でっかいきっかけは奥さんだね、やっぱ。奥さんと出会ったのは僕が28歳の頃。深い人間関係の味とか、良質な人間関係って何かっていうのを実体験で気づかせてくれたのは奥さんで、彼女がいなかったら本当に、今も孤独なままなんだろうって思う。

それはまだ箱に出会う前だったけど、世界中が彼女の敵になっても僕は彼女の味方になろうと思ったし、彼女もまた同じで、世界中が敵になっても私はあなたの味方であるっていう。そういう関係を5年くらいかけて築いて33歳で結婚したんだけど、こうした関係ってすごく価値があるんだなと思った。実は僕、28歳の頃は借金が結構あったからそれを返すのに必死で。人生の展望っていうのはあんまりなくて。でも彼女がいてくれたおかげで、落ち込むようなことがあっても、また安心できて、自分を取り戻して。自分の価値や、お互いがお互いに貢献できることを探して、2人で「こうだったらいいね」っていう理想をかかげて、それに向かって歩いていたら、思っていたより借金を早く返すことができて経済的に豊かになったし、精神的にも豊かになった。そこで初めて、人間関係ってすごいんだなと思いましたね。

藤野) そうした状況の中で箱セミナーに出会ったとき、初めてセミナーを受けたときってどんな印象でした?

西田さん) まずは衝撃的過ぎたのと、聞いてて途中で恥ずかしくなっちゃった。さっき言った「人は自分に問題があるっていう状態に気づけない」っていうことは、まさに僕だなと思って。最初はそこそこ良好な人間関係を作れても、最後は壊れちゃうっていうパターンをずっと繰り返してきてるんで、それは集団においてもそうだし、社会人になってもそうだし、だから転職を繰り返したわけなんだけど。
これ、全部僕が起こしてる、ややこしくしてるんだなっていうことが、本当に腑に落ちたっていう感じだったよね。僕は気づいてなかったけど周りの人はみんな、僕のその問題に気づいてたんだと。

自己中で、わがままで、批判的で、損得勘定だけで動いてるっていうことに。そうしたこれまでの人生をすごく後悔したのと同時に、最後に出てきたリーダーシップピラミッドの話を聞いて、時間がかかってもいいからとにかくこれを一つずつやろうと思った。

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藤野さんとはそのあとに出会われたんですか?

西田さん) タカちゃんとは、僕が前職にいるときだから多分33、4歳ぐらいだよね。

藤野) 10年前ですね、今から。

西田さん) そうだね、10年前だ。

西田さん) 第一印象は「すごい論理的にものをしゃべる人だな」っということ。パンパンパンって言葉を立てていくから、「この人感情ないのかな」みたいなことを思いながらも「いや、この人は賢そうだ。使えるのかな、使えないのかな」って考えてた。まさに損得だよね。当時、新しく会う人に対してはお金になるか、ならないかでしか見てなかったから。

藤野) ビフォア箱セミナーの西やんだもんね。

西田さん) そうそう。「多分二度と会うことはないだろうな」と思った。

藤野) 次にもう1回会うことはないだろうと。

西田さん) そうだね。「次にもう1回会うことはないな」っていうのは思いましたね。

藤野) 僕が覚えてるのは、西やんが「藤野さんの採用コンサルティングと、何か一緒に提案できたらいいなと思うんですけれども、ちょっとニーズ拾ってきますわ」みたいなことを言ってくれたことなんだけど……覚えてる?

西田さん) 覚えてる、けど。

藤野) けど(笑)。「多分仕事になんねえだろうな」っていうのは感じたよ(笑)。この人、口で言ってるだけだからと思ってた。

西田さん) 僕ね、当時、最初にどれぐらい餌を出しといたら、どれぐらい食いつくかの反応を見てて……。

藤野) 最低だ(笑)

西田さん) 最低だ(笑) 初めて会った人にはまず「いろんな餌ありますよ」って。
「食いますか、食いませんか」みたいな。

藤野) 超「モノ」として見てるじゃん。

西田さん) 超「モノ」だよ。だからそういうのを全部みんな見透かされてるわけじゃん。

藤野) 僕も気づいてた。

西田さん) 気づいてたよね。で、箱セミナーを35歳で受けて。タカちゃんにもう一度会ったのはいつだっけ?

藤野) 2009年に、西やんから会社作ったっていう連絡が来たのかな。僕もリーマンショックを経て結構大変だった頃だからよく覚えてる。必死になって売り上げ上げようっていうふうにしてる時期に「会社作りました」っていうハガキが来たんですよ「エイチ&リレーションズジャパンですよ」って。

西田さん) 送りましたね。

藤野) 最初の感想は「へー」って。「あんたが何が人間関係や」とか思って(笑)。

西田さん) なるほど。それさ、多くの人が思ったんだろうね、多分。

藤野) そのハガキは、見てすぐにごみ箱に捨てた気がします。

西田さん) ひどい(笑)。でも、わかるわ。

藤野) その後しばらくして、西やんから電話があった。

西田さん) 誰かから「そういえば最近、藤野さん、すごい頑張ってますよ」という話を聞いて。「ああ、藤野さんか」って思い出した。電話するのにけっこう勇気がいったんだけど、何となく、本当に直感で「連絡取ってみよう」って。嫌がられるかなとか、いろいろ考えたんだけど電話してみようって。で、タカちゃんが来てくれた、オフィスに。

藤野) そうでしたね。そのときの僕の印象は、「なんか人が違う」と。当時の僕の言葉を借りれば「何でこんな爽やかな風の吹き抜ける男になってるんだ」と。あんなに損得と、お金のことばかり考えてて、脂っこい風を流して淀んでたような感じの人が、すごい爽やかな風が吹き抜ける男になっていて、「一体何があったんだ」と思ったわけですよね。「箱というものを受けてね」っていう話をして、あのとき2時間ぐらいお互いのプライベートなことも含めて話し合ったことを覚えてます。

西田さん) そうだよね。

西田さん) 再会したときのタカちゃんは、前よりもツンケンしてないという印象だった。そんときにタカちゃんが「実は困ってるんですよね」って言ってくれたんだよね。チームメンバーの悩みだったよね。

藤野) そのときに西やんから人間関係の大切さみたいな話を聞いて「僕はそういうチーム作りがしたいんだ、それをもし手伝ってもらえるんだったらありがたい」みたいなことを言ったんでしたっけね。

西田さん) 言ってくれた。それでタカちゃんの話も聞いて「実験でやってみよう」という話になって。前までだったら僕、言わないもん。昔なら「いくらですか?」「お金ありますか?」って聞いてた。

藤野) そうだよね、「トライアルでいい」って言ってくれたんだよね、あのときね。それで当時のメンバーに「箱セミナーというのがあって、チームビルディングっていうことを皆さんで学んだり、体験したりしませんか?」という呼びかけをして、西やんの箱セミナーを受けたんだ。

西田さん) 1回目受けたときはどんな感じだったんだっけ?

藤野)確かに「わかるよ」って思ったし、ハラ落ちした自分もいるんだけれども、でもまた箱に入ってしまう自分もいて。人をモノとして見るとか、道具のように見ることがいけないことだと理解しながらも、またそうした状態の自分に戻ってしまうことがすごく辛かった。大きな葛藤を感じたことを覚えてます。

西田さん) なかなか変われないな、って。

藤野) 「別に箱に入るのはいいんだよ」と言われても「できれば箱に入りたくないんです」と自分を責めてしまうことろがしばらくあったなっていう感じはします。それまでにも、チームのメンバー同士で個々が思ってることとか、良かったころ、感謝し合うっていうことを日常的にやってるつもりだったけど、結局はそれも自分のやってもらいたいことをやってもらうために感謝してたっということでしかなかったな、というのは感じました。
箱研修の最後、お互いに感謝の言葉を伝え合うっていうワークをしたんですが、相手に何かをしてもらうための感謝ではなくて、ただその人にただ感謝するっていうことをすることで自分の中に訪れた心理的な変化とか、相手との関係に起きたちょっとした変化に「これはすごいな」と思ったことを覚えてますね。

そうして、この箱セミナーは素晴らしいものなので、ぜひ、これは管理者研修とかで導入しようってことで、僕のお客さんとか、あと、幾つかいろんな会社の管理職の方を集めて、箱セミナーを体験してもらうっていうことになって。具体的にそこで初めて、西やんと「一緒にビジネスパートナーとしてやってみましょう」みたいな話になったんですよね。

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西田さんから見て、当時と今とでは藤野さんに変化はありましたか?

西田さん) 僕ね、さっきコンビニ行きながら考えてたの。「タカちゃん(=藤野)、確かに変わった」と。しかし「何が変わったんだろうか」「その要因は何か?」と考えると、一番はね「自分をよく知るようになったんだろうな」っていうこと。

基本的にお客さんがタカちゃんに求めてるのは、クリエイディブなアイデアや、新規性と奇抜さ、アドリブ的に出てくる降りてくるアイデア。そうしたものにタカちゃんがロジックを通していき、するとその場にいるお客さんたちもなぜかその物語に引き込まれていく。そうした状態になったら、整合性があるかないかは問題じゃなくて、彼が発する魅力的な新しい世界とか新しい価値に思わず「YES」と言っちゃうんだよね。もともと、新しいことを考えるとかアイデアをつなげるといった強みはあったけど、最近はその精度が高まってるっていうのを感じていて。

藤野) 精度?

西田さん) 精度。降りてくるアイデアの精度が高い。それこそ、タカちゃんがAIみたいな。人工知能的に学習して、これまでになかった答えを出す感じ。「ああ、これと、これだから結び付くんだ」みたいな。だからアイデアの精度は上がっていること、結び付けるっていうこと、その本質的なことって、自分をよく知っているっていうことじゃないかなと。

タカちゃんは自分の状態に敏感だし、今は何かを思いついてもまず「これは本当に僕がやりたいことか」と探求するじゃない?前だったら「一度投げたボールだから拾いに行かなければ」という気持ちが強かったように思う。

これまでは、ボールを投げるのが好きだからとりあえずは前に投げて取りに行かなければいけない、でももういっぱいいっぱいだしどうしようと泣きながらボールを拾いに行くという感じだったのが、今は、たくさんボールを投げてるんだけど、やりたいからやっているし、やれるっていう感覚があるからきれいに回っているっていう。それってタカちゃん自身が「本当にこれ、やりたいことかな?」「これは僕がすべきことなんだろうか?」「僕、本当できるかな?」という部分に目を向けるようになったというか。だから他者の評価もそんな気にならなくなるし「だってやりたいんだもん」と。

なぜ藤野さんはそういうふうに変化していったんでしょう?

西田さん) 2010年くらい、当時のタカちゃんは「いや、そうなりたいさ」が口癖だった。「いや、そうなりたいんよ」って「でも、なれないんよ」って。実際もがいてて、別の自分になろうとしてるんだろうなというのは感じてて。でも何か違うなとも、自分でうすうす気づいていて。周りにまっぴーとかもいて、モヤモヤの正体は何だろうっていうことを多分感じていたんだろうなあ。

藤野) 別の自分になろうとしていたね。

西田さん) 無理やり自分の価値を見つけようとしていたというか、自分の生存領域を無理やり見つけ出そうとしているみたいな。

藤野) それって今までの自分を否定して新しい自分を創造しようと、スクラップ&ビルドしようとするんだけど、でもそれは結構自分の中で苦しくて。嫌いじゃないわけ、今までの自分も。だけど、嫌いだと感じている自分もいるから結局変わろうとしても変われないっていうとこで、もがくことを繰り返すんですよね。

西田さん) そうなんだよね。昔は僕も「本当に僕は浅ましいんだな」とか「本当に卑怯で小っちゃいな」とかってよく言っていた。すごく落ち込むことがあって虚無になったとき、陶山さん(箱セミナーの師匠)に言われたのが「西やん、浅ましいんだ僕らは」と。「人とは浅ましいんだ」って。「この浅ましい自分も認めてあげて、その浅ましさも許してあげれるようになれるといいね」って言われた。浅ましくて、卑怯で、小っちゃくて、という自分がいることを認めて、受け入れられる自分になれるといいって。同時に岡部さん(西田の生き方の師匠)には、「西やん、大丈夫だって、あまねく世界はうまくいっとる」と言われて。

藤野) 浅ましい自分はいるのだと。しかし、同時に「大丈夫、うまくいくのだ」と。

西田さん) そう。

藤野) なるほど。

西田さん) それを受け入れて、認めたのは大きかったよね。タカちゃんも、ガクーンと落ちてから、完全にそれを受け入れ始めた。同時にラクになって、それを笑い飛ばせれるようになっていったんだと思う。模範生でなきゃいけないっていう優等生なタカちゃんと、だらしなくてダメダメなタカちゃんと

藤野) ずるくて卑怯でね。

西田さん) それを両方受け入れたんだと思うんだよね。そんときに「いいんだ」って言うか、自分を許せるっていう感覚が出てきて、そっからだもんね「ちょっと僕、歌いたくなったんだ」って三線始めたり、パドルとか始めたのもその辺じゃない?「ちょっと海に行きたいんだ」とか。自分を癒すような時間を作っているのと同時に、そこからが本当の働き心地みたいな、種が植わったみたいな。

藤野) 「今の自分を否定するのではなく、そういう自分がいることを受け入れてこそ、初めて人は変われるのです」みたいなことって、頭ではわかってるというかどこかで聞いたことがあるような話なんだけれども、そういうことを箱セミナーで気づいたっていうことが僕のファーストステップだった。そのあとに人間関係のトラブルという体験を踏まえて「ああ、自分が引き起こしてるってこういうことなんだな」と実感するっていう。でもそのことを自分は認めようとせず、人のせいにしようとする自分もまたいて、でもそれは、他人は既に見抜いている。

家族や西やん、いろんな仲間やお客さんたちが、そういう浅ましい僕も知っているけれど、それでも一緒にいてくれているんだっていう体験がくっついて、それで初めて本当にハラに落ちるんだなっていうのは体感覚としてすごくある。「あのとき私はこういうふうにハラで感じた」みたいことって言葉にするとすごい軽いんだけど、実際には、感謝とかごめんなさいっていう気持ち、良心って呼ばれるものかもしんないけど、柔らかな「なにか」を今でもありのままに思い出せるんだよね。ハラ落ちのハラって、月ヘンに土って書くじゃないですか。だから人間って、本当はそういった体験がないとわかんないもんなんですかね。

西田さん) そうだろうね。だから体があるんだろうな、と思うよね。

藤野) そうだよね、西やんもさっき「腑に落ちる」って言ってたもんね。

西田さん) いい意味で開き直れたんだろうなと思うんだよね。あの頃のこともよく覚えてんだけど、結局タカちゃんは人が去っていくことをすごく恐れていて、こんな浅ましい僕、要は模範生、優等生じゃなきゃ自分には価値がなくて、模範生、優等生である自分に周りが価値を認めて付いてくれていると思ってた。お客さんも、仲間も。そうじゃない自分を想像したときに、みんないなくなっちゃうんじゃないかとか、すごい恐怖を感じてて。でも結果、そうじゃなかった。むしろそれをウェルカムされた。その体験、経験がすごい大きかったんだろうなと思って。だからタカちゃんが変わったポイントって、自分を知るっていこうで、その中の一つに、自分の価値、存在価値が理解できたんだろうね。

「生存して大丈夫だ」「生きててもいいんだ」みたいな。他人から褒められなくても評価されなくても、自分に対する安心感だよね、それが醸成されたのかな。こういう話ってさ、心理学とかそういうところからひも解くと、多くは家庭環境に影響されるっていう話は多いわけで、それはたぶん半分は本当で、半分は自分の選択で決めれるんだろうけど。だからもう一度それを取り戻したのかな。そっからだもんね、父ちゃん、母ちゃんへのリスペクトとか、感謝とか、全部つながっていったじゃん、自分の生を受け入れるっていう。僕たちはどこから来て、今どこにいて、どこへ向かおうとしてるのかを感じ、信じ始めたと。

藤野) ゴーギャンだね。我々はどこから来て、どこへ行くのか。

西田さん)多分、もともと持ってたものに蓋があって、バカッと、ドカーンと開いたっていう。この1、2年だもんね、たかちゃんが、大いなるものみたいなこととか、人間本来が持ってる固有の能力とか、日本人ならではのDNAとかの研究と、対比して人工知能の研究を進めたのは。だからこそ我々は、人間が出きることをやろうと言い出していて。うん、なかなかわかってるな、僕(笑)

藤野) よく見てくれてるな、感謝ですよ。

西田さん) すごいね(笑)。

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西田さんは、藤野さんと一緒にどういう未来を作っていきたいと思っていますか?

西田さん)タカちゃんとどんな未来を一緒に作っていきたいかという問いに対しては、「死ぬまで一緒に笑ってたいな」っていう感じが第一だね。僕はタカちゃんに感謝してるし。柴田さんもそうだし、まっぴーもそうだし、僕のフィールドでは全然出会えなかった人たちと出会えるんだよね。それはタカちゃんの好奇心で、先に飛んでいって情報収集することをずっとやってくれていて。それは僕のためにも提供してくれてるんだなっていうのがわかるから。

あと、たかちゃんには、グローバルのイメージがあるんだよね、テクノロジーとグローバル。で、今話してることとかやってることを海外に向ければ、近い将来タカちゃんが必要になるんじゃない?

藤野) と言うのは?

西田さん) 閉塞感が改善されない時代に人工知能が発達して、っていう大体同じ流れしかたどってないじゃん。わかんないけどシンガポールとかさ。急速に高度成長したんだけれども働き心地なんかは良くないんだけど、みたいな地域。それを日本人的なDNAを伝えながら考え方をシェアしていくっていうイメージかな。

藤野) それいいね。

西田さん)ちなみに僕は、「シンプルさを追求」していきます。

藤野) 今「面白いな」と思ったのは、西やんが「シンプルさを追求する」って言ったじゃん、僕から出てきたのは好奇心を追求するっていう言葉だったんですよ。それは、僕の中で既にあった言葉だったから、西やんが「タカちゃんは好奇心で、好きなことを見つけに行って」「新しいものを見つけに行って」って言ってくれたから「あー、やっぱそうなんだな」って思えた。

昨日ちょうどリバネスっていう知的創造企業の社長の丸さんの話を聞いたんだよね。彼は「これからはテクノロジーも必要なんだけど、やっぱサイエンスが圧倒的にダイジなんだ」「サイエンスっていうことは、好奇心から来る、どうしようもない、このこと知りたいとか、このことなんとかしたいとかっていう知的好奇心から生まれる欲求で、人工知能が進化したときに人間に残された領域っていうのは、知的好奇心の探求なんじゃないか」っていうことを言ってたわけ。全ての人は研究者的に働く。研究者というのは別に、そのことが社会に貢献したいとかいうところが実はあるんじゃなくて「僕、こんなこと好きだから」というのが根源。ファーブルでいうと、虫が好きでたまらないみたいな。

西田さん) その感覚ね。

藤野) ファーブルは、虫が好きでたまらないっていうことを突き詰めた結果、人に影響を与える存在になった。昔の研究者っていうのは「僕、これ、好きなんです」って言ったときに「1円にもならないけども、お前のその話おもろいわ」って言って、パトロンみたいにお金を出してくれる人がいたと。

一方でこれまでの20世紀型の考え方、働き方っていうのは、何か自分が達成したいことがあるなら、そこには資本が必要なので、資本を集めるために株式というものがあり、だから株式会社というものが生まれた。自分のやりたいこと、知的好奇心を追い求めるためには、まずビジネスで成功して、キャピタル・ゲインを得て、それで投資するみたいなのが格好いいみたいなことを思っている人が結構多いんだけど、これからの働き方っていうのは自分がおもろいって思うこと、自分がすげえ好きでたまらないって思うことをただやる。それに「お前、それ、おもろいからやってみいや」っていうふうにお金を出してくれる人がなぜか現れる。お金の集め方も、1人の莫大な長者が出してくれるパターンだけでなく、クラウドファンディングに代表されるように、100円を1億人から集められる時代がインターネットというテクノロジーによってなされたんじゃないかと。

彼は「我々は全ての人が研究者的であり、経営者的であり、プロデューサー」ということと「自分の好きなことに、ただ追い求めるという研究者的な生き方をするんではないか」という話をしてたんだよね。それ聞いて「すげえ」思ったと同時に、考えてみたら自分の会社になんで研究って名前を付けたんだろうと考えて。多分それは、僕は研究者っていうものへの憧れがあるからなんだなと。彼いわく「なぜこうなんだろう」「もっとどうしたらいいんだろう」「そもそもどうなんだろう」「未来はどんな方向に行くんだろう」っていう正解のないことに対して問いを立ててくのがサイエンスだと。

だから僕はこれからも、人間とか、働くとか、生きるとか、企業とか、組織とか、教育っていうことに常に問いを持ち続けながら生きて、その好奇心のもとに実験を繰り返し、その実験を見せていこうと。そのうちに「それ、聞きたい」って人が集まってきて、なんだかお金になっているというようなことができたら僕はハッピーだなっていうことを、昨日あらためて発見しましたね。

西田さん) なるほど、また全然違うね。僕最近、山の開拓をしてる人の手伝いをしてて。服部さんというおじいちゃんがやってるんだけど、この人が、まさに山本五十六なんだよね。まず自分でチェーンソーで木を切って見せて、「西田さん、ちょっとやってみませんか」って言って教えてくれてさ、木を切断したときに「見事なもんだ」って褒めてくれるわけ。

放置されてどうしようもない山とか竹林を、服部さんは1人で開拓してるんだよね。その姿を見た周りの住民たちが、自分から「何か手伝えることないかい?」って声をかけてるの。「こんなに一生懸命働いてる人見たことない」って言って。僕もその1人だよね。服部さんが一生懸命やるから手伝いたいって思うわけで。それってリーダーシップそのものなんだよね。さっきの研究者のとこに帰結すると、服部さん、ポツリと言うわけ「みんないろいろ言ってくれるけどさ、西田さん、僕はね、ただやりたいからやってるんだ」と。ニコッとして「ただやりたいからやってるだけ」って。

藤野)誰かに褒められるとか、感謝されようとか思ってないんだ。

西田さん) ないんだよね、だから愚痴も出ないし、言い訳も出ない。

藤野)これは言っておかなきゃと思ったことがあって。よく僕たち「悟ったら終わり」っていうことを言ってますけど、それについてはどう考えていますか?

西田さん) 「悟ったら終わり」は、岡部さんの言葉だね。悟ったら終わり、だからチャレンジするんだろうね、やりたいから。研究をして、失敗もある、成功もある、それを粛々と続けるっていうことなんだろうね。

藤野)人は悟りたいってどっかで思ってる部分はあるじゃないですか。僕は、今はないんですけど聖人君子になりたい的なね。次元を上昇したいみたいなことを言う人いるけれども「でも、それって何かつまんないじゃん」と思っちゃう。

西田さん) そうだね、つまんないし、悟るってすごい高尚で高飛車な感じだもんね。

藤野)そうね、高飛車な感じする。素晴らしいことだとは思うんだけど。

西田さん) 同義語ぐらいで、普通であることの喜びってのもあるね。普通であるっていう。

藤野)いいじゃん、それ。悟ることより普通であることの喜び。

西田さん) 例えばうちの姉ちゃん家族とかも、別に収入がすごい高いわけでもないけど、幸せそうなんだよね。フェイスブックもしない。大して露出することないしみたいな。サザエさんとかちびまる子ちゃん的な世界が毎日繰り広げられていて、そこが愛おしいみたいな。

藤野)人間が好きだと。

西田さん) タカちゃんはどうなりたいの? どんなことをしたいの?

藤野)僕はやっぱり好奇心を追求するっていうことかな。最近ね、すごいきづきがあったのよ。真ん中の息子が小学校一年生になってさ、けど、週に2日ぐらい「学校行きたくない」って言うわけですよ。それまで山の中の保育園でね、自由で規律のない世界から規律のある世界に行くことになって息苦しさを感じてるのはよくわかるんだけれども。自分が生きてきた人生を振り返ると、学校へ行かないことが「もったいない」って思ってしまう自分もいると。「自由に生きればいいじゃん」と思う一方で、葛藤もあって。

そんなとき妻から、学校を休んだ息子が自主的に描いた絵にすごく力を感じたという話を聞いて。彼女は「だからこの子には、もっと別に「やりたい」っていう気持ちがあるのだから、そのことを信じられる私がいるかどうかだ」っていうことを言っていたんだよね。それを聞いて、確かにそうだと思ったんだ。

僕は、企業に対しては、やらされ感を感じている社員に強制でやらせるよりも、本人がもともと持ってるやりたいという気持ちを引き出し、それを育むことの方が人材育成においては重要であると言っておきながら、自分の子どもとの関係を見たときに、知らず知らずのうちに彼に強制をしてしまったことと、何かをやりたいという気持ちが本人にあることを信じきれていない私がいたということを気づいたわけですよね。自分と近い関係であればあるほど、信じたいという気持ちが相手側に寄ってってしまう、信じている相手に委ねてしまう自分がいる。

うまく言えないんだけど、何が言いたかったかって言うと「子供を信じるというのは、すなわち子供のことを信じるのではなく、子供を信じられている自分を信じてるっていうことが、本質であるというふうに思ったんだ」っていうこと。子供を信じるではなく、子供を信じてる自分を信じられるかどうか……すなわち自分なんだよねって。「関係が近いからこそ相手に執着しちゃったり、相手にそれを求めてしまったりすることって、やっぱりあるな」って思ったときに、やっぱりその子のことを信じてる自分を信じられるかっていうことだから。それは好奇心を追求してる自分と同時に、子供の好奇心を純粋に信じられる自分でいるっていうことも両立する、っていうところに何かヒントがあるんじゃないかなと、最近思ってた。

西田さん) そうだね、そこはね、一緒に上がっていく感じ。

藤野)そうだよね、そうそう、一緒に上がってくんだよ。それ、別々じゃないよね。

西田さん) 別々じゃない、一緒に上がってくるっていう感じだね。

インタビュー風景写真

「大丈夫。
世界はうまくいくのだ。」

西田敬一さん
Keishi Nishida

株式会社H&Relations Japan代表取締役
株式会社働きごこち研究所取締役

西田敬一さんとのツーショット写真

同志社大学卒、「社長と社員をつなげる」チームづくり専門のコンサルタント。
13万部突破の「自分の小さな箱から脱出する方法」(大和書房)の日本人公式ファシリテーターとして活動中。
世界20カ国で展開される「箱セミナー」の、数少ない日本人ファシリテーター。
現在、東海地区を中心として、500名の方にこの概念を伝えている。

辻秀一さんとのツーショット写真

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